ドラゴンたちのバレンタイン(SS)

オチのない久しぶりの投稿がミルドラタグでSSなのでした(?)

SSの割には少し長いので、読みたい方は追記展開からどうぞ_(⌒(_'ω')b


※主な視点はフィーネですヾ(:3ノシヾ)ノシ
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独りの夜道

涼しい。とても涼しい。これが夏の夜なのだろうか。


今夜は熱帯夜と聞いていたが、案外そうでもないらしい。


時間は11時37分。自慢の腕時計はそう語る。


本当なら補導されている時間帯だ。でも心配には及ばない。俺の歩く散歩道は警察官なんて通りっこない。


もし通ったとしても、ここら辺は俺の庭。すぐに逃げて撒けるだろう。


小さいころからこの町に住んでいた。


もう俺も16だ。そろそろ彼女なんて・・・いやいや、今は勉学。


だいたい、俺に彼女なんてできっこない。


友達もそんなに多くも無いんだから。


でも、不思議と寂しくなかった。


むしろ、そのほうが良いと思っている。


なにせ、このごろの若者はとにかく騒がしいと世間ではそれなりに印象が悪い。


いや、俺は騒がしいどころかおとなしすぎてつまらない、なんて言われるくらいだ。


ただ、俺もその若者に分類されてしまうらしい。俺としては不名誉極まりない。


でも、そんなことはすぐ忘れてしまう。


すぐ思い出させられたりするけど、すぐ忘れる。


というよりは、忘れてしまう。


自分で記憶を忘れたりするのは、現代科学ではほぼ不可能とされているそうだ。


ほぼ、と言ったのは、この前テレビで薬品を使って記憶を本当に消す・・・みたいな内容の特番をやっていた。


・・・気がする。


俺の記憶力はこんなものだ。


ただ、この町の構造についてならじいちゃんやばあちゃん以上に詳しい自身がある。







今日の独り散歩はなんだか不思議な気持ちになる。


独りでなんだかにやけるようで、周りに人がいたら不気味に思われるか、気持ち悪がられているだろう。








ただ・・・






・・・少し肌寒くなってきた。


上着は持っていない。暑いからいらないと思って持ってきていない。


しかたない。今日のところはこのあたりで引き上げるとするか。





俺はふと月明かりの射す地面に目をやった。






綺麗な花がある。


それは赤色に染まり、少し萎えているが、何か力強い意思を感じる。


強く生きていこうと言わんばかりの意志だ。


・・・きっと、誰かに踏まれてしまったのだろう。


水をやっていれば元の元気な姿に戻る・・・いや、もっと力強い姿を見せてくれるだろうか。


摘んで家に持ち帰ってみよう。


と、その花が植わっている地面をよく見ると、なんだか少し赤黒い土のように見えた。


これは・・・血のり・・というやつなのだろうか?


よく見ると、その血のような何かは、この先の森へ点々と続いているように見える。








誰かが森の中にいる。











俺は森の中へと進んで行った。









そこに待つ未来を見るために。そして、過去を自覚するために。














花はすでに枯れていた。

















月はいつの間にか雲によってかくされてしまったようだ。



あとがき→追記展開

すべては使命のために

あいつは裏切り者だ。


俺たちの組織から逃げ出した挙句、敵側につくとは・・・


わが社の損失は計り知れない。


もうこの会社同士の争いもこちらの負けということでカタがついてしまいそうだな。


と、内心諦めかけていた。


俺が所属する部署は特別で、力さえあれば誰でも雇ってもらえるという画期的なところだ。


もちろん、戦場にどんどん派遣されたり人体実験をやらされたりと、俺たちの扱いはまるで人間を扱うのではなく、何かの家畜を扱うような、そんな感覚だ。


だが、俺はこういう状況や空気は嫌いじゃない。外の世界のように嫌になるほどの自由なんていらない。


そんなものがあるから人々は堕落する。


人だけじゃない。龍や獣たちもだ。最近の生き物はみんな堕落しきっている。


それは世界が平和だからだ。世界が平和になると生物は堕落し、軟弱な種と化してしまう。


俺はそんなやつらと同類種として見られたくない。


俺が今までやってきたことを世界中のグズどもに見せ付けてやりたい。






ところで、今日、わが社の機密情報を持ち出して敵社にその情報を売った裏切り者がいるそうだ。


どんなやつかは知らないが、迷惑千万な話だ。


こういうやつが俺の部署にたくさん配属されるから嫌なんだ。


中途半端な覚悟で入って、俺たちに迷惑をかけた挙句、死んで逃げるのだから。


俺はそういうやつは嫌いなんだ。


自分の命を無駄にして生きていくやつは・・・









・・・なら、なぜ俺はここにいる。


命を大事にして生きていくのならばここにいては駄目なはずなのに。


答えは簡単。それは俺が弱いからだ。


力ではなく、心が弱いからこのような集団にいるのだ。


そして、今日マスターからとある極秘命令を下された。


「裏切り者を探して、殺せ。」と。


ルー・・・お前は今どこにいるんだ。


いつかお前に会える日まで、俺はこの手を汚すことになる。


だけど、だけど、そんな兄でもお前のためなら許してくれるよな・・・?















俺は短刀を持って外の世界へ出た。

記憶を無くした少女

注:某ホラゲではありません

なんてことだ・・・!


もうどうしようもないじゃないか・・・!


今私が何者で、ここがどこで、今日は何月何日で・・・


もう訳がわからない。どうしたものか。


さて、この間約10秒ほどだが、少しずつ落ち着いてきた。


落ち着くのが早いなんてよく言われそうだが、これが普通・・・な気がする。


きっとほんの少し前の私もそういう思考ができていたのだろう。


私は記憶を失ってしまった。


記憶が無いといっても、無くなったのは普通に暮らしていくにはなんら問題ないものだ。


むしろ、無かったほうがよかったのかもしれない。


思い出したとき、その記憶のせいで恐怖したりするのは嫌だ。だって怖いでしょ?


わかったのは、私自身に関する記憶はほとんど無いということだ。


なんでこんな状態になっているのかはまったく分からない。


ふと気がついたら、私はなにかぽっかりと・・・記憶を保持する風船が割れてしまったかのような。


・・・だが、そんなことはどうでもいい。消えてしまったものには興味は無い。


今ある自分で生きていけばよいのだから。








・・・これは・・・?




・・・なんともいい匂いだ。こんないかにも美味しいそうな匂いは生きていて嗅いだことが無い・・・気がする。


記憶が無いはずなのに、身体はそれを覚えているかのごとく反応する。その反応はやがて私の思考に「美味しそう」と感じさせる。


今の私は頭で考えて動いているのではなく、身体自身が思考をしている。つまり私の意志に関係なく動いている。


そんな感覚だ。だけど、不思議と悪くない。普通なら気持ち悪がってしまうようなものな気がするが・・・


そして気づいた瞬間、私は身体が軽くて、なんだか心地のよい感じであった。


しっかりと周りを見渡すと、私の脚は地面から離れている。


そうだ。私は空を飛んでいたのだ。しかも、私自身の力のみで飛んでいた。


いや、正しく言うと私は何もしていない。私の身体がすべて勝手にやっているのだ。


突然、身体は急降下する。突然の出来事だったので、私は目をつむってしまった。


しかし、気がついたときにはすでにまた、地面に脚をついて、直立していた。


そして目の前には、「肉まん」と書かれた先ほどまでしていた美味しそうな匂いが強くする建物があった。


若い男性がなにやら手の中に光るものを持っている。それを、建物の中にいる女性に手渡した。


しばらくすると、建物の中の女性は白いなにかに包まれたものを男性に渡した。


その白いなにかから、先ほどから美味しそうな匂いがする。


・・・そうだ、私も腹が減っているんだから、少し分けてもらおう。


そう思い、先ほど男性がいたところに近づいて中をのぞくと、こちらを見た女性が突然悲鳴を上げてどこかへ行ってしまった。


突然のことでまたもやびっくりしてしまった。でも、これではその「もの」は貰う訳には行かない。


仕方なく、諦めることにした。


せっかく飛べるのに、飛んでみたいと思っても飛ぶことができない。


少し地を歩くことにした。


いい風だ。この気持ちのいい風は・・・私が失った記憶に悩まされる瞬間を忘れさせてくれそうだ。


風のなかに聞こえる小鳥や小動物のささやきがよく聞こえる。結婚したスズメのカップルの会話からメダカたちの日常的な会話まで。


・・・それにしても、何か避けられている気がする。


周りの人間たちは私の姿を見ながら、者によっては悲鳴を上げながら逃げていく。


・・・少し寂しさを感じた。


どうして避けられるのだろうか。不思議でたまらないのだ。


この身体がいけないのだろうか・・・


ふと、目に飛び移ったのは水溜まりから見えた自分の姿。



自分の身体をみてみると、少し・・・いや、十二分に長い尾、どうみても周りにいる人間たちとはかけ離れた骨格、そして空を飛ぶために空をつかむように動かされている翼。なにしろ、身体が非常にでかいような気も・・・。

私の身体の周りには少しひんやりとしていて、丈夫で硬そうな鱗がびっしりとくっついていた。


そして、その身体は赤い血のようなもので汚れていた。


いや、これはれっきとした血だ。私の身体を汚している。


私はいつの間にか血まみれだったようだ。


そしてこれは誰の血・・・?



















気づいたときには、ひざから地面に倒れ、わき腹から鮮血を流している私が、水溜まりから見えた。









水溜まりは、赤い色で染まってしまったようだ。

美しく咲く花は

月の光の下に咲く一輪の花。それは私の心を安らげてくれた。


黄色い花だった。少し萎えていて、でも何か力強さを感じた。あたりが暗くても、目がいいから色はすぐにわかった。


いままで花はたくさん見てきたが、こんな色ははじめて見た。


今まで見てきた花は赤い色。その色は、とてもきれいに見えるけれど、私にとってはもう見るのが嫌になるような色だった。


赤い色が別段嫌だったからという訳ではない。ただ、私が見てきた花は全部、同じ色をした赤だったから。


同じ色の花をどこまで歩いても見る羽目になっていた私は、飽きた・・・というよりは精神的に参ってしまったというほうが正しいだろう。


しかし、この花は違った。この花は私が今まで見てきたものの何よりも美しい。そして力強さを感じる。


地面という名の世界に束縛されているのは少しばかり悲しい。しかし、この花は何が何でも地面に張り付かん、そんな気迫すら感じる。


私は、地面という束縛を受けてはいない。空を飛んでどこまでもいけるだろうし、水の中で息をして生きることもできる。


でも、なにか縛られている。私は・・・嫌、この世界の者たちは、この世界に「存在」している時点で何かしらの束縛を受けているのだろう。


そうでなかったら私は息を止めても苦しくなったりはしないし、今この瞬間脚を使って地面を散歩していることなどないわけなのだ。


でも、その束縛のおかげで私はたった今、かすかな幸せや感動を感じる。


何者にも縛られずに生きることなんて、結局無理。できていたとしても、そこには何もない、真っ白なキャンバスの世界なのだろう。


この花・・・何という名なのだろうか。家に持ち帰り調べてみたいという欲が生まれる。


しかし、この花を地面の束縛から解き放つということは、それと同時にこの花の命を奪うということになるのだろう。


昼間、鬼のような心を持っている私でも、さすがにそのような罪深いことはできない。


私情で奪っていい命は無い・・・はずなのだから。









・・・ならば、なぜ私は日ごろから真っ赤な花を見続けているのだろうか。


私情で咲かせていい花ではない。たとえそれが美しいものだとしてもだ。























今、私の体にも、真っ赤で、大きく、美しい形をした花が咲いた。







しかし、その花はすぐに美しい形を崩し、地面の束縛を受けたとたんに、花という面影すらない、もはや水溜まりのようなものに変貌してしまった。















ああ・・・やはりこの色は嫌いだ。




しかも私が咲かせるなんて。




家族もいない。知り合いもいない。出会ったばかりの友はいるが、彼らにも挨拶をすることは無いだろう。













なぜなら・・・



















私はここで死んでしまうのだから。
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